金属3Dプリンターの導入を考える

金属3Dプリンター、それはデータのものを実在するものにすることができる画期的な設備です。ここでは金属3Dプリンターとは一体どういうものなのかというところから、メリットデメリットまで紹介いたします。

金属3Dプリンターとは

金属3Dプリンター

近年今まで不可能と思っていたことですら技術で可能になりつつあります。その中でも特に注目を得ていたのが3Dプリンターの存在、それは非常に画期的で3Dデータで作られた設計図を元に、樹脂などを使って実際に造形できるという優れものです。立体だけではなくプリンターは印刷の方であっても非常に充実しており、以前は本を作るとなると数百冊からでないと採算がとれず、大ロット受注しかできなかったところもオンデマンド印刷を利用して一冊からの印刷であっても可能にしているところがあるほどです。このオンデマンド印刷もデータをそのまま出力し、そこから冊子や本を作るという製法で、数百冊以上購入されないと採算がもうとれない、というのを無くして小ロットからでも本が印刷できる、という状況にもっていくことが可能となっています。そしてそれは立体造形でも同じようなことが起こっており、それが3Dプリンターなのです。

通常こうしたものは金型などを最初に作り、それに樹脂や金属などを流し込んで製作していくものとされています。しかしその工程を無くしてデータから直接出力できるようにしたのが3Dプリンターなのです。特に金属3Dプリンターは金属粉末などを利用し、出来上がるものはアルミニウム・チタン・ステンレスで出来たものです。これらは実際に実用することが十分可能なものも多く、部分修繕で少しだけ金具が欲しい、けれど金型がないので自社では作れない、そんなときも3Dデータさえ作ってしまえれば出力して実際にその金具を製作することができるのです。もし金属3Dプリンターが普及すれば、データそのものを取引に利用し、そして先方でいつでも出力して使ってもらえるようになるため都度発注する必要がなく非常に効率的です。

また設計だけを行うビジネスも可能です。また事前に3Dデータを作るということで、画面上で発生しやすい問題を確認しつつ、微調整が必要であれば試作品を作る前に修正し、完了次第試作品を作ることだって可能です。無駄に材料を消費しないというのがデータの利点、現代に於ける重要なデータというものを最大限に活かし、それを実際に手に取って部品として利用できるようにしたのが金属3Dプリンターなのです。この場合今までの手法では製作できなかった形のものも製作できるので、これで作られた金具はより色々な業種で活躍すると見込まれています。現在でも普通に作る場合では難しい、人工股関節の金具などもこの金属3Dプリンターを用いて作られているなど、複雑な構造をもったものでも製造が可能になっています。非常に便利で、そしてロマン溢れるこの設備は現在まだまだ発展途上の技術なため課題は非常に多いです。しかし多くの人が注目し、活用できればとても便利なものだと認知されつつあるので開発はいまどんどん進んでいます。

実例はこんなところにある

金属3Dプリンター

金属3Dプリンターの導入を考えた場合、どんなことに利用できるかをきちんと考えておく必要があります。導入のためにはビジョンが必要、これまでの実用例について紹介いたします。金属粉末の種類によってできるものが異なりますので非常に作れるものの幅が広いのが金属3Dプリンターです。そして主に利用されているのが金属部品やアクセサリーとされています。チタンはアクセサリーにもよく利用されている金属で、これは金属3Dプリンターでもよく使用されている種類のものです。複雑なパーツを組み合わせたアクセサリーであっても金属3Dプリンターを用いれば多様なデザインを短時間で造形が可能となっています。3Dデザインを作るのは人なので、デザインは損ねずにイメージ通りに出力が可能です。また金具も金属を用いることで色々な部分に使用できるものを作ることができます。航空機やロケットの部品もこの金属3Dプリンターで製作されたものを利用しているケースがあり、試作品製作から実用化まで幅広く利用されています。

まだまだ実用段階に入っている事例は少ないものの、導入する業種が年々増えているのは事実です。まだ金具やアクセサリーなどがメインではありますが、これから開発が進んでいくともっと色々なものが作れるのが予想されます。未来の発想次第では分野問わずの利用が叶う可能性があるのです。

金属3Dプリンターの種類

金属3Dプリンター

種類は大きく四つに分かれています。一番採用されているとされているのがパウダーベッド方式をここでは詳しく紹介いたします。これはレーザーあるいは電子ビームを敷き詰められた金属粉末に照射、その熱で溶かして造形していく方法です。レーザーか電子ビームかで仕上がりが異なります、レーザーの場合時間がかかるものの仕上がりのクオリティが高いとされています。電子ビームの場合はスピードが速く、しかしやや粗いなどの特徴があげられています。ですがこの方式は幅広い鋼種に対応しており、そして他の方式よりも密度・強度共に優れているため実用されている例が多いです。そしてポジション方式、これは精密な造形には不向きですが、一部欠損した金属部部品の部分補修では非常に重宝されています。次に樹脂3Dプリンターでよく見受けられる方法である熱溶解積層方式、これは樹脂を含んだもので造形していくので最終的に脱脂と焼結の工程が必要、造形時よりも収縮するのでそれを踏まえて設計する必要があります。

そして最後にバインダージェット方式です。これは他の方式とは異なり、レーザーや電子ビームの照射ではなく液体の結合剤を吹き付けて固める方法です。改善しなければならない点は多いものの、いまのところこれらが方式として用いられており、そしてその中でもパウダーベッド方式が活用されています。とはいえ他のものも開発が進めばそれ特有のメリットが出てきて、非常に有用なものになる可能性があります。まだまだ発展途上のもの故にこれからに期待です。

メリットとデメリット

金属3Dプリンター

金属3Dプリンターはまだまだこれからの設備なので、今導入しようと考えているのであれば現時点でのメリットデメリットを知っておくのが大事です。まずメリットは人的リソースについてです。これを利用することで可動している間は放置が可能、そして金型などの準備も必要なく、ほぼ機械任せにして造形を行なえます。いままで試作品一つを作るだけで多くのリソースを割いていた場合でも、設計段階では人の手を加える必要がありますが、造形ではそれは必要ないのです。また通常よりも短期間で製造が可能なため、試作品を求められている場合速い納品が可能とされています。そして次に、金型がもう存在していない、設計図が存在していない部品を造形する「リバースエンジニアリング」が可能です。

データさえ作ることができればもう製作するのは難しいと考えられていた部品を生成が可能です。非常に便利だと考えられるメリットばかりですが、デメリットとして億単位の導入コストなどが必要であるということ、故にまだコスト削減が確実ではないこと、造形後加工が必要なケースがあるという部分が指摘されています。現段階ではまだまだ課題が多いですが、しかしいずれにせよ金属3Dプリンターは非常に有用な設備です。